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生成AIの普及と電力の壁

2022年11月OpenAI社がChatGPTを発表したのを契機に、大手IT企業は一斉に生成AIの開発に乗り出し、現在ではいくつもの生成AIシステムが登場しています。グーグルのブラウザであるChromeを使ってネット検索を行うと、状況に応じて検索結果に生成AIによる回答が表示されるようになっています。
この生成AIの使い方は簡単です。これまでブラウザを使って検索する際に、検索用語には単語あるいは複数の単語を入力することが多かったと思います。この検索用語を人間が会話するような文章で検索すれば、自動的に生成AIが起動します。
例えば、あなたがこれから新しいパソコンを購入するとして、間違いの無いパソコンの選び方を知りたいとしましょう。「間違いの無いパソコンの選び方」と入力して検索すると、これまで通りパソコン販売店のウェブサイトが並んでいて、各販売店の営業トークを見ることになります。ここで検索キーワードを次のようにしてみます。「間違いの無いパソコンの選び方にはどのような注意が必要ですか?」と問いかけるように入力すると生成AIが起動して、正しい答えを表示してくれます(生成AIが正しいという保証はありませんが…)
このように生成AIを使うのに特別なパソコンや機器は必要ありません。ただ思った通りに問いかけるだけで自動的に生成AIが答えてくれます。利用者が使い方をちょっと工夫するだけですから、今後の生成AIの普及は意外に早い可能性があります。
ここに来て意外な問題が生じているのが電力の供給です。生成AIを稼働するサーバーはデーターセンターと呼ばれる建物の中に収容されています。大きな窓のない建物の中に数千台のサーバーが収容されており、サーバーが消費する電力及びサーバーを冷却するための電力は、生成AI利用時は通常の検索に比べて約10倍大きくなるとされているので、データーセンター1か所で消費する電力は一般的な火力発電機1機分に相当する500メガワットに上るものとされています。
生成AI用データーセンターは、情報の消費地に近く、電力の供給地に近い所が求められるので、現在の日本にはやや難しい立地条件となっています。これから日本でも生成AIの開発と利用を促進するのであれば、電力供給の問題も解決しながら進める必要があります。この問題は原子力政策にも絡んでくるので、科学技術に理解のある政治決断が求められることになりそうです。