日本人の海外旅行熱が減退しているようです。JTB総研の調査によると2024年の海外旅行者数は1450万人と予想されており、これは2019年の72.2%に留まります。海外諸国ではコロナ禍の影響は完全の払しょくされているのに対して、日本の現状はかなり遅れています。そして、さらに問題と考えられるのは、若年層の海外留学が減少し続けていることです。
日本は明治維新以来、海外との交流を深めることで新しい文明文化を取り入れ、多くの日本人が海外に出ていったことが、その後の日本の成長につながったことは、皆様もご存じの通りです。今、若き日本人が海外に行かなくなることは、30年後の日本の姿に危惧を抱かざるを得ません。
はじめは観光でも語学研修でも一度海外に出かけてみることで、一定数の海外留学に関心を持つ若者が現れてきます。そのうちの何人かが学術や文化の交流に関心を持って海外で学び、いずれは文化交流に貢献できる人材に育つことが期待できます。しかし、若いうちに海外に行くことがなければ、海外留学に興味を持つ若者の数が減少していくことは容易に想像できます。
コロナ後の諸外国はインフレが昂進し、さらに為替レートの円安もあって、海外旅行費用は割高になっていることは確かです。しかし、だからこそ成長とインフレを続ける諸外国の社会を見て、日本国内の低迷の根源に目を向ける人が増えて欲しいものです。海外の社会を見ていなければ、今日本には元気が無いことにも気づきません。そして、長きにわたって元気が乏しい日本人は、これからも現状維持のまま、海外諸国との差が広がり続ける未来を甘んじることが危惧されます。
今こそ海外に出て、日本を回復させてくれる若き人材が、増えることを願いたいと思います。