1849年に米国カリフォルニアで勃発したゴールドラッシュは、全米各地からアメリカンドリームを求めておびただしい人々が集まりました。鉄道はもちろん駅馬車も未発達の当時、東海岸から米大陸を横断するのは困難を極め、途中インディアンの襲撃に会ったり、アリゾナ砂漠で水が無くなったり、多くの命が失われたそうです。
そうまでしてやっとたどり着いたカリフォルニアは人口急増のため、住む場所も無く食べるものも無く、金を掘る人の暮らしは大変厳しいものだったのです。そこでは大金を得ることができたのは、金を掘る人に道具を売った金物屋、食べ物を売った農家、部屋を貸した宿屋だったのです。
やがて金が掘りつくされると、これらのビジネスも終焉を迎えました。しかし、ゴールドラッシュで生まれたビジネスもあったのです。金を預かる銀行業、金を運搬する駅馬車業、駅馬車を盗賊から守る警備業などで、これらは今にも続いています。
しかし、最も大きい成功を収めた人、それは金を掘る人のニーズに応えて丈夫な生地の衣料品を開発し、それを全米に広めた小さなテーラー。その人の名こそ世界のジーンズ生みの親、リーバイ・ストラウスだったのです。
ビジネス成功のカギは、人のやらないことをやるか(マーケティング)、人が思いつかないものを生み出すか(イノベーション)。これは現代のゴールドラッシュ、インバウンドの急増にも通じるものではないでしょうか?
この話は下記の書籍から引用しました。
アメリカ型成功者の物語、野口悠紀雄著、新潮文庫