愛知中小企業家同友会・春日井地区例会で、社員とともに報告(講演)しました。
報告テーマは「経営危機を乗り越える近道はこれだった」(「人を生かす経営」の実践報告)。
当社は2002年以降、幾たびもの経営危機に直面する出来事がありました。
最初は2002年に全国で展開された「国のIT講習会」、これは全国民にパソコンを教えるという堺屋太一の提唱で、小渕内閣が決定し森内閣の時に実行された、国家プロジェクトです。
全国各地の小学校や公民館で、国民を対象とした初歩のネットとメール操作を教えるもので、これによりパソコン教室受講者が激減しました。
次は2004年のサンマルシェ本館建て替え工事、自社の建物は工事の対象ではありませんが、工事期間中はショッピングセンターが食品スーパーとなり、顧客激減に直面しました。
そして、2005年に当社と同じフロアーに家電量販「ベスト電器」が進出、規模の違いから汎用商品の販売は勝負にならず、携帯電話販売からの撤退を余儀なくされました。
さらに、2008年のリーマンショック、一見関係なさそうなパソコン教室の受講者が激減しました。雇用環境とパソコン教室のニーズには、強い相関があることを思い知らされました。
一つのショックに対処して立ち直りかけたところに次のショック、この波が津波のように何度も押し寄せ、事業継続が危ぶまれる深刻な状況に陥ることが、たびたび発生しました。
先行きに悲観してあきらめたくなるような状況に対して、物心ともに事業継続の大きな支えとなったのは、何年もかけて社内で育ってきた社員たちの会社に対する思いでした。
1992年の創業からちょうど10年後の、2002年に入会した愛知中小企業家同友会は、毎月出席していても会社には何の変化も起こらず、時間だけを消費していました。
その頃から上述のように外部からの環境変化によって会社の経営は厳しさを増すばかりで、同友会活動は経営の負担となるも助けになるものではありませんでした。
ところが、入会後の2007年に「人を生かす経営」を社内で読み合わせを始めたころから、社員の行動に徐々に変化が見られ、経営方針に対して積極的に発言するようになりました。
2010年からは経営指針書を作る際に社員が経営計画を分担作成するようになり、2011年からは経営計画の作成を社員に任せて、全員で経営指針書を作るようになりました。
今は月次決算で利益実績が経営計画を下回る場合、社員は自発的に営業活動を強化し、それでも不足する場合は給与カットも自分から提案するなど、会社を守っています。
「人を生かす経営」では経営者と社員の平等な関係を作り出し、「経営指針書」では会社の方向性を共有し、社員が経営者の目線で業務を考えるようになっています。
これらはすべて、同友会の学びが社員に浸透した結果であることはあきらかで、同友会に入会して10年たった今、その大きな価値が実感されるようになりました。
本日の同友会春日井地区例会では、このような会社の変化を、社員全員がかわるがわる報告することで、学びの成果を参加者の皆様に伝えました。
本当に意義のある報告をさせてもらう機会が得られ、社員ともども感謝に絶えないひと時でした。