昨年8月にスーパーの棚からコメが消えたことは記憶に新しいところだと思います。そして、今年はパソコンが電気屋の棚から消えるかもしれません。その理由をご説明します。
文科省が進めている「GIGAスクール構想」をご存じですか?児童生徒に1人1台のパソコンを国が用意して、子供たちの情報教育を推進することを目的に、2019年末に決定した国の施策です。当初計画では2020年から5年間かけて、順次パソコンを配布する予定でした。ところが2020年に新型コロナ禍になり緊急に在宅教育の必要性が高まったため、政府は計画を前倒しして2020年にすべての小中学校に在席人数分のパソコン配布を完了しました。それから5年、配布したパソコンの更新時期が到来して、機器の入れ替えが急ピッチですすめられています。
ところで今年はマイクロソフト社が、Windows10のサポートを10月14日に終了します。対応策としてマイクロソフト社は後継のWindows11へのアップグレードを無料で提供しています。ただし今回のアップグレードが以前と異なる点があります。それは、パソコンに高度なセキュリティ機能が求められるため、古いパソコンでは動作せず買い替えが必要となることです。この影響で昨年秋からパソコンの買い替え需要が高まっており、世界的にパソコンの売れ行きが拡大しています。
GIGAスクールのパソコン更新需要と、Windows10サポート終了による買い替え需要が重なる日本は、需要の増加に供給が追い付かなくなり、必要なパソコンが入手できない事態が予想されます。また毎年3月に発表されるパソコンの新型モデルは、昨年来の円安に伴う基準価格の改定が行われる見込みです。これらの影響により、今年はパソコンの品薄と価格の高騰が危惧されます。
在庫が無くなった末に価格が上がったコメ、これを彷彿とさせる事態が、今年のパソコン市場に出現するかもしれません。