6月号の本コラムで紹介した、米国発の新サービスであるウーバーを米国で実際に使ってみました。ラスベガスのマッキャラン国際空港から市内のマンダレイベイホテルまで、ウーバーを利用しました。その感想を一言でいえば「これは世の中を変える！」というものです。 空港でポケットからiPhoneを取り出しウーバーアプリを起動すると「お迎えする場所を設定」と表示されます。このボタンをクリックして、次に車種（乗車人数）を選び、あと二つほどの設問にクリックするだけで、お迎えに来る運転手の顔写真と名前、車の車種、そして「到着まであと7分」というカウントダウン表示が現れます。カウントダウンが0分になる前に顔写真の運転手が車で現れ、ドアを開けてくれました。乗車中の車内では礼儀正しい親切な会話を交わしながらホテルに到着しました。料金が表示されたiPhoneを見せてOKか聞いてきたので、OKと応えると決済は終了し、にこやかな笑顔で去っていきました。その後自分のiPhoneに星マーク5個で運転手の評価入力画面が表示されたので、迷わず星5個をクリックしました。ちなみに、この評価平均が4.7を下回ると、運転手は契約解除になるそうです。 ウーバーの利用に言葉は不要で、スマホの画面を数回クリックするだけです。自分の居場所はGPSが案内するので相手に告げる必要はありません。支払いは登録しておいたカード決済なので現金不要。運転手は礼儀正しく車はきれいに清掃されています。そして費用はタクシーの3分の2程度。これは交通手段を持たない人にとって画期的な交通手段です。 タクシーは自宅や駅から乗るときはいいのですが帰りが問題です。その地域のタクシー会社を探して電話し、自分の居場所を営業所に伝えて、いつ来るかわからないタクシーを待つのは、地元住民でも面倒なもの。しかも短距離だと電話で呼ぶのは気が引ける、長距離だと高くつくなど、意外な不便さがあります。これでは外国人観光客には使えない交通手段です。 高齢化の進展する日本では、都市近郊住宅地や地方都市において、買い物や通院などに使える普段の足となる交通手段が求められています。ウーバーが導入されると高齢者など交通弱者も住みなれた町で便利な生活ができるようになります。流しのタクシーがない地方都市へ観光するのも安心して個人で出かけることができます。増加するインバウンド（外国人訪日客）も、ウーバーがあれば鉄道の未発達な観光地にも足を踏み入れる機会が増え、地方都市や観光地の活性化にも役立ちます。 仕事が奪われるタクシー業界の激しい反対には理解できますが、イノベーションに逆らうことは変化に順応する時間を浪費するだけです。一日も早く合意が形成されて、便利で発展する社会に変わってほしいものだと思います。