今でも多く使われているデスクトップパソコンは、34年前の1981年に発売されたIBM-PCがその原型となっています。その後、1989年に東芝が発売したダイナブックがノートパソコンの歴史を切り開き、2010年にアップルがアイパッドを発売して、タブレットパソコンのジャンルを確立しました。 このようなパソコンの進歩の裏には驚異的な半導体技術の進歩があります。初代のIBM-PCに搭載されていたメモリは16KB（キロバイト）ものが、初代ダイナブックの搭載メモリは1.5MB（メガバイト）と、8年間で約100倍、初代アイパッドは16GB（ギガバイト）と、21年間で約10,000倍に増えました。今ではデスクトップパソコンに半導体メモリを使ったSSDドライブと呼ばれる記憶媒体が、従来のハードディスクに置き換えられるようになりました。これには128GB（ギガバイト）のメモリが使用されています。初代のIBM-PCから計算すると、なんと800万倍の容量となります。これは、0.1ミリの厚さの紙を800万枚積み上げると、8000メートルの山になるほどの変化が、これまでの34年間で起こったのです。 ところでおもしろいのは、半導体の技術がこれほど大きな進歩を遂げたのに対して、パソコンの姿かたちはあまり変わっていないことです。今も多く使われているデスクトップパソコンは、本体・ディスプレイ・キーボード・マウスから構成され、初代IBM-PCとほとんど変わりがありません。かつてマイクロソフトがウインドウズ95を世に出した20年前、「将来のパソコンはポケットに入るようになり、指や声で操作できるようになる」と当時のビル・ゲイツが予言しました。確かにそれはスマートフォンで実現したのですが、パソコンはやはり今でもキーボードとマウスで操作することが基本となっています。どれほど技術が進歩しても操作する人間は変わらないものだ、ということを表す事例とも言えます。 SSDを搭載したデスクトップパソコンは、見かけは従来からのパソコンとなんら変わるところはありませんが、中身は大きく変わっています。ハードディスクのように回転する円盤に磁気で読み書きするのではなく、メモリを使って電気的に読み書きするので、動作が極めて速くなります。スイッチを入れてから起動するまで、従来のパソコンのような長い待ち時間がなくなり、インターネット閲覧やメール送受信、ワードやエクセルなどオフィスアプリの起動時間も極めて短時間になります。また、機械的に動作する部分が無いので故障する可能性が少なく、故障の心配をしなくてもよくなります。このように見かけは同じでも、メモリの技術進歩はパソコンを確実に理想に近いものに変えています。 ところで、このような技術の進歩と人間の変化、皆様はどのように感じていますか？