2月には2週続けて大雪が降り、首都圏を中心に大きな混乱が発生したことは、まだ記憶に新しいところだと思います。しかしこれは日本だけの現象ではなく、同じころカナダも猛吹雪に襲われて、大きな被害が出たようで、カナダのアルバータ州が主産地であるグラノーラ（シリアルの一種）の生産に大きな影響が生じているそうです。この話は輸入食料品を扱う商社社長から聞いたものですが、このところ国内で人気が出てきたグラノーラが、今年は日本に入ってこないことを心配されていました。 昨年の夏は各地で40℃を超す熱波が襲い、冬は寒波による桁外れの大雪。このような異常気象の発生が地球温暖化によって引き起こされることは30年以上前の論文に書かれていました。近年世界を襲っている巨大ハリケーンの発生も含めて、何か大きな気候変動が起きていることは肌で感じられますが、政府はこれらの気候変動を地球温暖化とは関連付けていません。このことについて先週、地球環境研究の権威者にお話を聞く機会がありました。「気候変動が地球温暖化の進行によるものだとわかっていても、科学者としては理論的な証拠が得られないので発表できない。そのため政府機関もその事実を国民に知らせることができないでいる」と語っておられました。たしかに学問の世界では理論的に解明できていない地球温暖化の影響を、現実世界の猛暑や大雪の原因として発表するわけにはいかないのでしょう。しかしその間にも影響は確実に深刻化しています。IPCC（気候変動に関する政府間パネル）から報告書が提出されても、世界各国の政府もなかなか具体的な取り組みができていません。地球温暖化は手遅れになる前に手を打たないと、取り返しのつかない問題を未来に残すので問題は深刻です。 ところで政府がもたついている間に、民間企業ではこの問題を先取りした動きがありました。先日弊社で請け負った住宅販売用WEBサイトの中に「パッシブソーラーシステムを使ったゼロエネルギー住宅」がありました（パッシブソーラー名古屋で検索すれば1位に表示されます）。これは、家の断熱性を高めるとともに夏は屋根裏の熱を自然冷却で外に逃し、冬は屋根裏の熱を循環ファンで室内に取り込むことで、空調の負荷を最小化した住宅です。さらに太陽光発電と太陽熱温水器を利用して、消費するより多くのエネルギーを生み出しています。まさに地球環境にポジティブな影響を与える理想の住宅と言えます。住宅は車と並んで炭酸ガス増加の大きな要因なので、環境負荷がゼロの住宅が今後増加すれば、地球温暖化防止に役立ちます。民間企業の中からこのような考え方を持つ工務店が現れたことは、誠に頼もしい限りです。 地球温暖化という言葉にはどこか穏やかな響きがありますが、その実態は猛暑や大雪、そして巨大な嵐を伴う気候変動で、深刻に受け止めるべき問題です。この問題に官民挙げて取り組む機運がもっと盛り上がることを期待したいと思います。